仁川広域市(韓国)における木材市場の取引状況(2019)

仁川広域市(韓国)における木材市場の取引状況(2019)

 

仁川広域市(韓国)は大韓民国の北西部に位置する市で、ソウル、プサンに次ぐ第3の都市です。黄海に面する仁川港を擁した韓国を代表する港湾都市で、郊外の埋め立て地は韓国最大の経済自由区域に指定されているなど韓国経済を支えている重要都市です。ソウルまで40キロと近いことからソウルのベッドタウンとしての性格もあり、ソウル都市圏の拡大に比例して人口が増加するなど近代都市の一面を持ちますが、およそ1000平方キロメートルの総面積に対し水田が21パーセント、森林が44パーセントと豊富な緑があることが特徴です。森林のうち68パーセントが私有林で、国有林は24パーセント公有林は8パーセントですが、市財政に余裕があるため十分な経営をしていない私有林を積極的に買い入れていることから、国有林の割合が増加傾向になっています。仁川広域市の木材市場における樹種別構成はカラマツやゴヨウマツなどのマツ類が約40パーセントで、クヌギなどの広葉樹が30パーセントとなっており、取引先としては木材加工会社や住宅建設会社などが主流で、主に構造材や内装材、合板材やチップなどに加工され広く国内に流通しています。また、韓国では日本のヒノキやスギ製品の人気が高く、日本の木材輸出先で丸太で2位、製材で3位に位置付けられている他、国内産のマツ材などをチリを筆頭にロシアやニュージーランドへ輸出しており、それら輸出入の主要輸出港が仁川港になっていることから仁川広域市の木材市場における取引状況は大変活発な状態で推移しているのが現況です。しかしながら、輸入された原木の1次および2次加工を行って製材品を生産している韓国の主要企業も仁川広域市に集中しているため、大企業中心の寡占市場が形成されていることが問題視されています。韓国における森林資源は1960年代からの地産緑化政策により増加してきましたが、未だ輸入に頼っている部分が多いため、今後は更なる造林や森林の生育が急務となっています。

 

 
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