東京都の栗(の木)の取引状況(2019)

 

秋になると、東京都でも歩道の片隅に時折栗の実がいくつか落ちている光景を見ることができます。そんな栗の東京都での取引状況は、日本政府が公表している統計を見ればある程度は知ることが可能です。
農林水産省の「作物統計調査(平成30年産果樹生産出荷統計)」によると、東京都の2018(平成30)年産の栗の収穫量は302トン、出荷量は238トンでした。日本一の収穫量(4,400トン)と出荷量(4,010トン)をほこる茨城県と比較すると、東京の栗は収穫量・出荷量ともに1割にも満たない量ですが、栗が収穫・出荷されている都道府県の中では中位に位置しており、まずまずよく収穫されていると見ることができます。
東京都でのくりの取引は、主に日本最大級の農林水産物の取扱量をほこる東京都中央卸売市場で行われます。ここでは東京産に限らず全国各地で収穫されたくりが集められ、取引が行われています。東京産のくりが中央卸売市場で取引されはじめるのは8月で、9月に最も取扱量が多くなり、11月まで取引が続きます。日本一の収穫・出荷をほこる茨城県産のくりと取り扱われる時期が重複しており、取扱量についても圧倒的に茨城産の方が多いため、東京産のくりがクローズアップされる機会はほとんどありませんが、取引で値がつけられた栗は確実に小売店や飲食店に卸され、やがて消費者の手に渡って食卓に並べられるか、料理の一部となって食されています。
近年、栗は農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)を中心に品種改良がすすめられており、2000年代後半には果実が大きくて天津甘栗で用いられてるチュウゴクグリと同程度の渋皮のむきやすさが特徴の新種が、2010年代後半にはこの品種をさらに改良して従来より1週間程度はやく収穫することを可能にした新品種が発表されました。東京都の生産者の多くも苗木を手に入れて栽培を行っており、収穫されたものは中央卸売市場を経由して店舗に卸されています。

 

 
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