栃木県の栗(の木)の取引状況(2019)

 

栃木県は奥羽山脈の南端部に位置する県で、古来より八溝山地や八溝山などの山岳から伐採される林業が盛んな地域でした。現代でも栃木県庁環境森林部林業振興課や栃木県林業労働力確保支援センターなどが、林業経営者の雇用管理の改善や、新たに林業従事者として登録したい人の就業を支援するなど、官民をあげて林業を後押ししています。?冬は降雪もありますが平均すると穏やかな太平洋側気候のため栗の木やリンゴや梨などの果樹がよく育ち、2014年の栃木県の栗の収穫量は541tで国内では第9位でした。?栗の木は材質が固く腐りにくいため、明治時代は線路の枕木によく取引されており、2019年の取引状況では建築資材や薪として需要が高く、昔も今も日本人になじみの深い樹木です。?桃栗三年柿八年と言われるとおり、栗の木は成長が早く虫がつきにくいため林業家の中でも育てやすく、輸出検査時の植物検疫も通りやすいと人気があります。?栃木県からも森林整備への助成のため造林事業補助金などが交付されており、今後も栗の木の取引状況は良好な道を辿るものと見られます。?
クリの実は食用になるため肉質と糖度の高い実は製菓用に出荷されており、取引状況が活発になるのは剪定前の秋頃です。?栃木県の山岳地帯は夏との寒暖差が激しいため糖度の高いクリの実が生りやすく、甘栗やきんとんの他にも羊羹やカステラ用に取引されています。?クールジャパンの影響で日本の和菓子が外国人にも知られるようになったことから、洋菓子用向けにクリの出荷が増えており、2019年の取引状況でも海外向けの出荷数が増加中です。?クリの実の取引相手はスペインやイタリアやアメリカなどで、海外ではナッツの一種として食べられています。?植物検疫の厳しい国でも過度な薬剤処理をしなくても、木材燻蒸をして虫退治をすれば検査に通りやすい栗は、その輸出しやすさで今後も栃木県の林業を支える樹木として期待されています。

 

 
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