山口県の栗(の木)の取引状況(2019)

 

栗の木は、北は北海道南部から本州と四国と九州に至るまで分布するブナ科の樹木です。食用にするために海外から植栽されて、国内全域に広がりました。そのため食用になる果実の部分で知られていますが、木材利用のために伐採されてきました。今現在でも栗が多く生育する地域では、建築材で優秀性が高く柱に使われています。木材の特徴は、年輪の境界に大きな道管が帯状に配列されて、環状になっているため年輪がくっきり出ていて見栄えが綺麗です。心材の耐久性は極めて高く、その重硬さは日本産材の中で最も高いです。木材の中の空洞が少なく詰まっているため、水を通しにくく湿気にも強い特性があります。そのため重硬性を生かして、細い柱でも十分な耐久性があるため最小限の材料で家を建てられる事から、建物の土台に用いられてきました。またその硬さと耐湿性を生かして、鉄道の枕木や車両でも使われてきました。そのため栗材は鉄道網の発展に必要不可欠な材木だった事で、明治期以降の産業と流通の発展に寄与して取引状況も活況でした。その後木製の車両の減少や、枕木用の安い外材が輸入されるようになり、栗材の需要は急激に減少していきました。山口県は約7割が森林で占める山で囲まれた地域で、樹木の生育も早く林業が盛んでした。照葉落葉樹が約8割を占めますが、栗などの暖帯落葉樹林が約2割あり林業も好況でした。この地域も一時期、海外の安価な輸入材の流入して木材価格の下落し、さらに離職者と高齢化で衰退しました。2000年以降の途上国の伐採規制や新興国の木材需要の拡大に伴って、世界的な林材品の価格高騰が始まり状況が一変しました。山口県は自治体で森林と林業活力強化プロジェクトを行い、荒れた山林や木材運搬用の林道の整備が行われました。また高性能の林業機械の導入により、硬くて伐採に手間がかかった栗材の加工も容易になりました。かつては採算の取れなくなっていた山口県の栗の木の取引状況は、2019年現在では改善しつつあります。

 

 
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