石川県の桐の取引状況(2019)

 

国内における桐の生産量の統計は1955年から見られ、国内での需要のピークは1959年となり以降は徐々に生産量を減らしている傾向が見られます。ただ高度経済成長時代においても安定的な供給が存在し、桐を利用してのたんすなどの耐久消費財でよく利用されることもあり、取引状況は活発化しています。
かつては国内産が出回っていましたが、安価な輸入材が取引市場でも出回ったことで国内産が厳しい状況となり価格の下落を招いたのも事実です。もっとも石川県は伝統工芸が盛んな県の一つで、桐たんすなどの桐工芸・加賀獅子頭・琴などの製造が盛んであり、主に地元の桐の需要が高い点が見られます
江戸時代には、石川県の前身である加賀藩は3番手の材木として、その植林を奨励した事情もあり、特に白山麓のエリアでは良質な桐が伐採できる地域となっています。日露戦争に勝利後にも福井県の敦賀まで海ルートで運び、そこから大阪まで届けたほどで、多くの材木商が存在していた記録に残っております。
また鶴来町は木材製品が盛んに製造されたエリアであり、名工によるたんすなども手掛けられ、今でもその名残を見ることができます。ただ徐々に安価な輸入材が出回ってしまったこともあり、国内産の価格が下落したことに伴い、現在ではほとんどの材木商が店を閉めているため廃れてしまったのが実情です。
取引状況においても、石川県産の物が出回ることが少ないですが、昔ながらの加賀獅子頭・琴などの製作においては石川県産の利用を見ることができます。桐材の特徴は調湿性があり、強度も強い、炎を上げて燃えにくい性質を有することでたんすの他に家屋などでも活用される木材です。
他にも下駄・人形などで利用されることもあるほどで、その利用も多彩に富んでいるのが実態になります。なお公共施設や民間の住宅でも石川県産の桐などの材木の利用を奨励しており、補助金制度を設けるなどの政策が整備されています。
それによって近年は伝統工芸品だけでなく、住宅などにも活用され、新たな需要を生み出し取引状況も徐々に回復しております。

 

 
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