富山県の桐の取引状況(2019)

 

富山県は森林面積が約28万5千ヘクタールと、国土面積の半分以上を森林が占める県です。
また、人工林率が約20%と低いのが特徴で、多くを天然の木々が県を覆っているイメージです。
植生自然度でいえば本州でトップですから、天然の木材が求められるニーズにおいて、富山県産は人気があります。
県を代表する木材は桐ではありませんが、それでも桐材を使った加工品などが県内で流通していたり、県外に出ることもある取引状況です。
桐は四国を除く本土に広く分布していて、古くから人々に活用されている高級木です。
タンスは代表的な加工品として有名ですし、琴や琵琶などの楽器にも使われているほど、加工性や質感の良さが評価されています。
虫がつきにくく調湿作用を兼ね備えるなど、まさに日本の気候にあった木材です。
ただし、生産者の減少に伴い桐の供給量も減っている取引状況で、しかも国内の主要な生産地は他県に譲ります。
更に加工用の木材は大部分を輸入に頼っていますから、富山県産の桐を他の地域に売り込む余地は小さいでしょう。
いくら高品質でも、価格競争で勝つのは難しいので、やはり価格に代わる付加価値が必要不可欠です。
自生する天然の桐はそれ自体が魅力になりますし、売り方次第で取引状況が変化する可能性は十分にあります。
海外に照準を合わせ輸出するビジネス方法も考えられますが、国土面積の大きい国には絶対的な供給量で敵わないです。
流通量の多い取引状況の中で参入しても、価格競争の前では存在感を表すのが困難です。
その為、富山県の桐の流通は多くが国内に限られ、そして国内においても他県に負けているといえます。
取引状況が小規模なので、富山県産の桐はややマイナーですが、品質の意味では他に負けないです。
着火しにくい安全性や冬暖かく夏涼しい特徴など、安全や快適性が再評価されれば、再び注目を集めるはずです。
特性が優れていて長期的に使い続けられますから、拘りの愛用品といった加工用途に活路があるものと思われます。

 

 
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