福島県の桐の取引状況(2019)

 

広大な県土を持つ福島県ですが、その内の約7割程度が森林となっています。森林の面積においては全国でも第4位となっている程の地域で、特に桐の生産量では全国で第1位という規模を誇ります。2016年のデータで見ても国内の桐材生産量の約4割が福島県で生産されており、多大なるシェアとなっている事が特徴です。取引状況も国内のトップクラスとなり、2019年においてもこの安定した実績は継続されていくでしょう。
桐材は主にタンスや下駄などに用いられますが、近年では海外生産の材料を使用するケースが増加しているようです。しかし海外産は気候が暖かい地域で育っているために、木目の間隔が広い物が多く、タンスなどにはそれほど適さないという点も指摘されています。
一方で福島県産は代表的な「会津桐」という種類に挙げられるように、木目のはっきりとした太さも魅力で、見た目の美しさに加えて強さも兼ね備えた木材として親しまれています。福島の会津地方特有の気候で、寒い冬に木が絞まる事で木目の美しい風合いが実現するのです。会津地方では主に三島町や金山町、柳津町が盛んな地域となっており、古い歴史をさかのぼると会津藩の藩主が、地域産業の振興の一環として進めた事が元々のルーツとなっているようです。
日本では昔からの風習で女の子が生まれると桐を植林するという文化がありますが、これは会津地方が発祥の地だともされています。そして女の子が成長して嫁入りする際には、生まれた時に植えた桐を材料として嫁入りタンスとして使用していたようです。現在は高級品の1つでもありますが、古い風習から見て取れるようにも、福島の地域で暮らす人々にとっては身近な存在でした。
福島県では伝統的な文化を大切にしながら今でも植林が続けられており、季節になると特有の紫色を誇る桐の花が楽しめる地域となっています。福島県の産業を支えている林業の中でも、中心的存在となっているのが桐の木という木材だと言えるでしょう。

 

 
トップへ戻る