山形県の桐の取引状況(2019)

 

桐はシソ目のキリ科の落葉広葉樹です。高さは10mほどで、初夏には淡い紫色の筒状の花を咲かせ、広卵形の大きな葉も茂らせます。原産地は中国で日本では北海道南部から九州まで植栽されます。生育の成長速度が早く、20年か30年ほどで大木に成長するため、資源としてすぐに利用することができます。肌触りが良く耐火性や抗菌性もあり、防虫効果もあります。そして重量の軽さと熱伝導率の低さ、調湿性が優れているため、下駄や箪笥、箱などの日用品の材料として古くから利用されてきました。また、女の子が誕生すると住居の周辺に桐を植えて、結婚が近い時にはその木で花嫁道具を作る風習もあります。山形県では箱のみならず、桐を和紙の素材として利用します。
山形県は東北地方の南西部に位置しており、日本海に面しており、人の横顔とよく似た形をしている県です。山形県が県庁所在地です。面積は9325.15uで、県の東部は県境に奥羽山脈があり、県の西部に朝日連峰があります。県の中央には最上川が流れています。県域の85%が山地で、森林が総面積に対して75%あります。気候は県内全域が日本海側気候で、冬は温暖ですが日照時間が少なめです。
山形県には桐を和紙にした伝統工芸があります。その伝統工芸は山形桐紙といいます。柾目がまっすぐなのが特徴で、紙箱やボール箱のなどの外面などに張るのに使用されます。桐の材木を鉋で薄く削り、削ったものを重ね合わせて希硫酸水に漬け込み、水で洗浄して台に並べ、糊を塗って和紙を裏打ちして作ります。それぞれの工程に熟練の技術を要するため、最低でも10年の修行が必要とされます。山形県でも桐を生産していますが、昭和34年をピークに国内の生産量が減少してしまいます。国内需要は高まっており、不足している桐は中国からなどの輸入品で賄っているため、取引状況は小幅に増減しています。現在はピーク時の2%ですが生産量を保持しているようです。

 

 
トップへ戻る