福岡県の桐の取引状況(2019)

 

福岡県の桐の取引状況は2019年9月現在で約420万トンとなっており、九州地方でもっとも多いです。取引がおこなわれる林業センターは飯塚市にあり、ここに県内で伐採されたものだけでなく佐賀県・大分県の一部山林の桐も運び込まれています。1985年に林野庁による全国木材取引状況調査が開始され、当時の福岡県の桐の取引高は約100万トンでした。その後、1989年に資源エネルギー庁が山林資源の有効活用と保全を47都道府県に呼びかけ、各自治体がそれぞれの木材出荷を担うことになって福岡県が桐を担当することとなりました。90年に木材の貿易自由化も発動されたことを契機に、国内だけでなくマレーシア・シンガポール・イタリアの3か国と取り引きをするようになって、林業は福岡県の大きな産業に発展することなります。総出荷数のみで見ると全国第3位となっていますが、林業センターで取り扱う桐の総数は過去10年間で毎年500万トンを越えているので全国1位です。このうち約200万トンは国内向けで、建材として用いられています。九州産の桐は温暖な気候の影響を受けて育っているため、幹が太くて木目も均一で美しいという特徴があります。高品質であることから1kgあたりの取引額が約6000円と全国平均よりも割高ではあるものの、神社仏閣の建設・補修工事に好まれており安定した国内需要を築くに至りました。なお海外輸出向けの場合も住宅建材に利用されてはいますが、半数は船や高級家具の製作に使われる傾向にあります。2019年以降の福岡県の桐の取引動向は、向こう10年間は国内需要は減少傾向にあると見受けられます。その理由として顕著なのが、国内の住宅が木造から鉄筋造りへとシフトチェンジをしているためです。福岡県だけでなく全国の市場でも取引規模の縮小が懸念されており、これを打開する策としては福岡県の場合は海外輸出を大幅に増やすことが望まれるでしょう。

 

 
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