愛媛県の桐の取引状況(2019)

 

愛媛県は林業が盛んな地域で、桐・桧・杉・栗の4種類を県立林業センターで取り扱っています。このうち桐に関しては2019年8月現在の取引状況は約220万トンとなっています。前年度よりも9%アップの取引率で、他の木材を抑えた主要品種であるといえます。愛媛県の桐は四国山地で伐採されており、年間を通して温暖な気候と太陽の光を良く浴びた木で高品質なのが特徴です。全国でも類を見ない真っ直ぐの伸びた幹であることから、1kgあたり約9000円と高値で取り引きされています。林野庁で各地の木材取引状況調査が開始された1984年当時、愛媛県で扱う桐の総量はわずか60万トンほどでした。当時は林業センターがなく県の自然環境部が山林を管轄していましたが、豊富な山林資源を有効活用する動きが高まり、1990年に山林と林業を総括する林業センターが今治市に設けられました。その後、センター内には市場・県内計4か所の山間部には伐採した木を角材等にする加工場が設置されて現在に至ります。愛媛県で取り扱う桐は西日本・関東地域に出荷されて建材に利用されます。国内需要は年間約120万トンとなっており、これに対して海外需要数が100万トンと50%を占めています。主に中国・フランス・シンガポールに輸出され、住宅建材だけでなく船・調度品に加工されているのが特徴です。桐はヨーロッパでは非常に高級木材として取り引きされているため、国内で1kgあたり9000円の価格でもフランス国内ではその3倍近くの値段になります。フランス単体でみると年間45万トンの桐を愛媛県は出荷しているので、県の林業収益の大きな要と呼ぶことができます。2019年以降の愛媛県の桐の取引動向を予測すると、今後も国内・海外ともに安定した需要を見込むことができるでしょう。需要に応じただけの供給がなされているので、環境保全をしつつ県の主要産業として林業は位置していくと見受けられます。

 

 
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