長野県の桜(の木)の取引状況(2019)

 

長野県の桜の取引状況は、その需要が非常に多く、生産の面では余り行われていないことが実態となっています。その理由は本州の内陸部に位置し山林面積は非常に大きいものの、その殆どが杉や檜などの建材木が中心の栽培になっていることがあげられます。その為、桜の苗木は殆ど栽培されておらず、県外からの購入に頼っているのが実態です。
長野県の特徴は県域の多くが山岳地帯である点にあります。すなわち非常に高度の高い地域が多く、桜の様な比較的暖かい地域に生育する花木が育ちにくい環境になっているためです。桜は比較的寒い地域でも生育する事が知られていますが、苗木の段階では暖かいところを好む性質があり、高地や寒冷地ではその成長が十分に行なわれないことから、美しい花を咲かせることが出来る段階までの生育期間が掛かりすぎる事や、花の数が少なくなってしまうことから苗木の栽培には適さず、ある程度生育した苗木を外部から購入し植林する事が一般的となっていることによります。
しかし、長野県は古くから精密な加工を行うには非常に適した地域で知られており、特に寒冷地では空気がきれいで不純物が混入しにくい事から時計などの精密機械の工場が多い事でも知られています。また、その他にも様々な工芸品を作成する職人が多い地域となっており、家具などの生産も盛んです。その為、桜の木材を利用した家具なども多数製造されており、単に花だけではなく木材での利用もその需要が多くなっているのです。桜の木材は一見非常に脆く工芸品には適さないと考えられるものですが実際には加工がし易い半面耐久性に優れているのが特徴で、また燻製のチップにも利用されていることから独特の香りを発生させることでも知られており、木材の利用も盛んな点が特徴となっています。
長野県の木材生産は杉や檜で、主に建材を生産しているというイメージがありますが、桜は春に非常に美しい花を咲かせるように、日本人の心に他の花木にはない強い印象を与える花となっていることから、苗木が育ちにくい長野県でもその需要が非常に大きくなっているのです。

 

 
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