秋田県の桜(の木)の取引状況(2019)

 

桜の木はバラ科モモ亜科スモモ属の落葉広葉樹の一種です。落葉樹とは、毎年秋になると葉を落とす性質をもった樹木のことです。落葉樹の葉が落葉するのは理由があり、葉は低温や凍結、乾燥に弱く、冬場の気温低下に対応して落葉することで、冬の間の水分の拡散を防ぐためと言われています。
桜だけでなくミズナラも落葉広葉樹の一種で、木材として取引されます。桜の木でも用いられるのはヤマザクラという樹木です。程よく硬くて強いことや色調が淡黄褐色であること、狂いが少ないのが特徴で、高級家具材や造作材、楽器材など幅広い用途があることからよく利用され、秋田県でも桜を伝統工芸の素材として利用しています。
日本海側に面している秋田県は、東北地方の北西部にあり秋田市を県庁所在地としています。中央に出羽山地、西に男鹿半島と鳥海山(2236m)が連なります。県面積の約70%を山林が占めている県で林業が盛んですが、木材を利用した伝統工芸も多く見られます。
その中の一つである樺細工はヤマザクラの樹皮を材料とした伝統工芸で、阿仁地方から角館町に伝わり、武士の副収入源として始められてから職人技として受け継がれてきました。
ヤマザクラの樹皮を剥がして1年以上影で干して乾燥させた後、削って磨き色合いを出して製品として加工しています。
技法は型ものと木地もので、木型などに合わせて経木や槻皮で芯を作り、樹皮を貼り付けるのが型もので、木地ものは板を下地にした製法です。型もので作られるのが茶筒で、木地ものでは箱が作られます。他にもたたみものと呼ばれる技法があり、こちらは樹皮を数十枚ほど重ね貼りをして彫刻します。主にアクセサリーの応用に利用されています。
誕生してから220年以上経ち、今となっては県内のヤマザクラの樹皮はほとんど採取されており、現在の供給の大半を占めているのが岩手県や青森県、宮城県、福島県産の樹皮で、樺細工の維持のために県外から供給しているため、取引状況が盛り上がっているようです。

 

 
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