宮城県の桜(の木)の取引状況(2019)

 

桜は日本の国の花ともいえる存在であり、宮城県でも花見の季節になると多くの人が満開の桜を見に公園などへ訪れます。そんな桜は、木材加工業界から見た場合は流通量が少なくて入手しづらい品種といわれています。
日本で自生する野生の桜はソメイヨシノやオオシマザクラ、ヤマザクラなど全部で10種類ありますが、このうち木材としての利用に最も適しているといわれているのがヤマザクラです。この品種は北海道、沖縄、東北北部を除く地域で自生しており、宮城県でも確認することができます。木材としての特徴は反りが少なくて強度が高いこと、耐水性が高くて虫害が起きにくいこと、磨くと艶があらわれて綺麗な色合いをだせるようになることで、これらがそのままヤマザクラが木材加工に適している理由にもなっています。欠点は割裂しやすいことで、これが起きやすい乾燥している時期は木材加工業者はヤマザクラを特に慎重に扱います。
ヤマザクラは古くから高級家具をつくる際の材料に利用されてきているほか、木管楽器・ピアノ・オルガン・三味線などといった楽器や道具の柄、仏壇、算盤玉、漆器の木地などでも材料として採用されることが多いです。先に述べた特徴から、ヤマザクラを加工してつくられた商品は、良好な保存状態を維持していれば数十年にわたって使い続けることができるでしょう。また、甘い香りが強くでることからスモークチップ用の素材としても人気があり、肉類やチーズとの相性は抜群です。
宮城県での桜の取引状況について述べると、桜全体の流通量については他地域同様とても少なく、ヤマザクラが最もよく取引の対象となっていることについても他の都道府県と同様です。ヤマザクラの入手が困難な場合はよく似た性質を持ち、比較的入手しやすい樺やミズメでしばしば代用されています。木材加工業者の間では代用品である樺やミズメをサクラと呼び、本当の桜であるヤマザクラは本桜と呼んで区別している者が多いです。

 

 
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