和歌山県の檜葉(ひば)の取引状況(2019)

 

県土の8割が山間部である和歌山県は林業で発展した地域です。
特に江戸時代の林業は有名で、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗が紀州藩の材木問屋を全て幕府御用達に指名したエピソードは広く知られています。その影響は江戸幕府から明治政府に変わった時期にも色濃く残っており、和歌山県の南部の森林地帯が政府御用地として管理されていたほどです。
そんな和歌山県でも昭和40年の輸入材の増加から始まった国産の木材の需要の低下、それによる林業の低迷は深刻でした。昭和30年代はまさに戦後の復興に勤しんでいた時代ですが、当時は戦火の被害で国産の木材は不足しており、それを補うために輸入材に頼っていた状態です。しかしそれから間もなくマンションブームが到来し、世間は木造住宅の関心を持たなくなっていきます。さらに追い打ちをかけるようにバブル崩壊で住宅の新築や増築、そしてリフォームを避ける傾向が強くなり、林業の稼ぎの元である住宅の低迷によって木材市場は縮小化されていったわけです。
けれども現在和歌山県では2017年に定めた森林と林業の運営をまとめた総合戦略に従い、また全国で活発になっている山林保全の運動によって木材市場と取引状況は改善されつつあります。
ロボットなど最新の技術をつぎ込んで人材不足の解消を試み、見事に成功した和歌山県では杉や赤松、そして桧が主力です。元々これらの木材は江戸時代から手に入る事が出来た木材で、その中に含まれる檜葉は圧倒的に少ないと言えます。ただしこれからの需要が期待されているのは檜葉です。
その理由を簡単にまとめると、檜葉は世界的に稀な特徴を持っている樹木だからに尽きます。
檜葉には抗菌作用の働きがある香り「ヒノキチオール」が含まれており、この香りがある樹木はなかなかないです。和歌山県の木材市場は国内ほどではないものの、国外との取引も盛んにおこなわれています。海外では外装用の素材に用いられているものの、熊野市の林業センターの代物は東京を経てそのまま海外に輸出されているので木材の希少性と和歌山県の市場を踏まえれば今後に期待できるといっても過言ではないです。

 

 
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