和歌山県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

和歌山県の2019年8月現在の栂の取引状況は、前年度と比べると約2万トン増加した62万5000トンの取り引きとなっています。林野庁による全国各地の木材取引高の調査が開始された1980年当初から、和歌山県は全国1位の栂の産地となっています。紀伊山地を有する和歌山県では、栂だけでなくスギ・ヒノキといった林業が江戸時代から盛んで、これらの木材を使用して江戸幕府の初代将軍・徳川家康公をお祀りしている日光東照宮を建立しました。特に和歌山産の栂は、各地にある産地と比べると断面が美しい木目をしており、強度に長けているという特徴があることから建材の需要が高い傾向にあります。栂の産地である紀伊山地の場合、南から暖かく湿った空気が山間部に当たり、日照時間も長い気象条件が良質な木材を生み出しているといえます。和歌山県内で伐採された栂は、和歌山県高野町にある県の木材取引市場にすべて集められて取引されます。2019年8月の木材取引市場での栂の取引率は全体の約42%を占めており、県の林業を支える貴重な資源であるといえるでしょう。主な取り引き先は関東・東北のほか、海外だとマレーシア・中国・イギリスとなっています。すべて住宅建材として用いる用途で取り引きされており、和歌山県では木材取引市場に隣接している加工場で角材にして運搬されているのが特徴です。これは取引市場が山間部にあるためで、海外輸出をする場合は大阪府にある南港または神戸港まで運ぶためには、小さなトラックでも荷積みがしやすい角材にする必要があるからです。木材の加工費用が含まれるため、1kgあたりの取引価格は全国の平均価格よりも若干高くなっています。2019年以降の和歌山県の栂の取引動向は、今後も建材としての需要が国内外で高いことが伺えるので安定した需要が見込めます。和歌山県を代表する林業資源なので、需要に見合っただけの供給を維持していくことでしょう。

 

 
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