兵庫県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

兵庫県は都市部としての印象が強い県ですが、その7割が山林であり杉や檜の生産が盛んな県でもあります。特に高度成長期には非常に多くの建材を生産していた時期もありましたが、近年では日本国内の木造住宅に対する建材の需要が落ち込んでおり、工芸品などに使用するケースが多くなっていることから、兵庫県の林業は現在非常にその生産高が低迷しているのが現状です。
その中で従来はあまり注目されていませんでしたが、現在注目されている木材の中に栂があります。栂は針葉樹の1種で非常に軽く加工がしやすいため、様々な目的で古くから利用されてきました。杉や檜が主流の頃には比較的割れやすく軽いと言う特性が災いし、建材にはあまり利用されてきませんでしたが、近年では逆にその特徴が非常に利用しやすいものとなっており、木造住宅の中の様々な装飾部分に利用されることが多くなっています。
日本家屋は従来は装飾部分が少なく非常にシンプルで堅牢なものが重宝されてきました。そのため、堅牢で割れにくい杉や檜がよく利用されていましたが、価格の安い輸入木材にとって代わられるようになり、その需要が落ち込んでいます。その中で、海外の住宅の様々な工法が導入されたことにより、住宅の中に装飾部分が多く設けられるようになったことから、その加工に適した木材である栂が見直されるようになり、現在ではその需要が非常に大きくなっているのです。
兵庫県でも1部の林業家ではこの状況を鑑み栂の植林を行う林業家が増えており、また県内の需要も非常に大きくなっていることから、兵庫県の栂の取引状況は非常に芳しくなっている実態があります。栂は耐水性が低いため腐りやすいと言う欠点があり、これまであまり木造家屋には利用されていなかった傾向がありましたが、加工のしやすさや軽さが近年非常に見直されており、また新たな重要である住宅の装飾部分に必要な加工のしやすさと言う特性も持っているために、美しい木材と言う印象が強くなりその需要が非常に増えているのです。

 

 
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