長崎県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

長崎県は、土地面積の約6割が森林という環境にありますので、全国的にも木材の資源が豊富に存在する傾向があります。ただ、栂のような天然林ではなく取引状況としてはヒノキやスギの人工林が多いという背景があります。これは、民有林の面積を戦後に拡大した影響があるからです。戦後の拡大造林によって特にヒノキの生産量を大きくさせようと対策を講じました。その結果、ヒノキ林がそれまでの約2倍の面積になり、これが森林や林業に影響を与えています。実際に、蓄積量をみてもスギやヒノキなどの人工林が全体の約6割も占めています。栂は針葉樹に分類されるものですが、件数全体でもこの割合はほとんどありません。それだけ、木材産業としてはスギやヒノキに力を入れていることがわかります。ただ、近年では林業の産出額が増加しているものの別方面での取引状況と関連している傾向もあるため注意が必要です。これは、キノコの栽培に必要な木材の生産額が影響を与えています。実際に、長崎県ではキノコ類を利用した木材生産額は年々増加傾向にありますので、長崎県で栽培されている木材が全て建築資材として利用されているわけではありません。
上記のようにヒノキやスギに関しては資源の充実期に入っている背景もありますので、蓄積量については全国的にも豊富な状態にあるのは間違いありません。具体的な数値をみても、林齢が年を重ねるごとにその蓄積量が大きくなっているのが一目瞭然でわかります。51年以上の林齢のものが最も多くなっており、それだけ木材として利用できる産量が多いことを意味します。実際に、木材市場の取引状況は国内とのやり取りだけではなく海外との取引でも実績をあげています。さらに長崎県では、原木や木材製品に関連する輸出のデータが安定している傾向もあります。これは、7年から8年ほど前のデータと比較すると明らかで、輸出量は3倍から4倍まで増えています。ですから、栂は平行線ですが木材全体の取引状況は順調であると判断できます。

 

 
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