大阪府の栂(つが)の取引状況(2019)

 

大阪府を中心とする関西地方では、建築や建具の素材として栂が好まれていました。
しかし現在の国内では、栂の蓄積量が少なく希少な樹種となっています。
また造林も行われず伐採もされなくなってきているために、今では新しい建築物で栂を見る機会は減っています。
大阪府での取引状況も、かつてとは比較にならないくらい減少してきました。
国内産が取引状況から減少していく代わりに、増加しているのが輸入材のベイツガです。
北米から輸入されたベイツガが国内産の代わりとなり、大阪府はもちろん日本全国の取引状況で目立つ存在となっています。
古くから関西地方を中心に親しまれてきた国産材が消えていく一方、輸入材が増えるのは日本人といて寂しさを感じる人も少なくないかもしれません。
栂の特徴として挙げられるのは、フロコソイドです。
表面を削ると白い粉が現われ、これがフロコソイドと呼ばれる有機物質です。
白い粉が表面から出てくると見た目が悪いと思うかもしれませんが、その効果は素晴らしくそれが古くから日本人に親しまれてきた理由でした。
フロコソイドはネズミが嫌がる有機物質とされ、表面に付着していると噛まれないといわれてきます。
ネズミは住宅にとっては天敵で、噛むことにより劣化が進み建物に深刻な被害を与えます。
しかしフロコソイドが含まれている栂材なら、ネズミが噛まないようになるので深刻なダメージを受けません。
現在はネズミを目にする機会は減りつつありますが、かつての日本の住宅では厄介な存在でした。
ですが柱や長押などに栂材を使うことによってネズミを遠ざけられる効果があったので、積極的に使われるようになったと考えられます。
他にも枕木や車両などにも使われ、至る所で使われてきたのが栂材です。
国産材が希少となり取引状況が不明瞭になっても、その効果は高く評価されるでしょう。
薬品を使わず自然の力でネズミを撃退できる栂材が再評価されれば、日本でも復活するかもしれません。

 

 
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