石川県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

栂は関東から南の本州や四国、九州や屋久島などに分布しています。同属であるコメツガは本州中部より北の亜高山地帯や四国、九州などで見ることができます。モミノキと一緒に林を形成しているのが大きな特徴です。栂は加工性が優れており建築資材や船材、パルプ材などに使われます。国産のものはあまり伐採が行われておらず、木材として見かける機会はそれほど多くはありません。石川県内でも主に建築用に栂が必要とされていますが、取引されているのは主にアメリカやカナダなどから輸入されたものです。建築用の栂は一定の需要があるため取引状況は堅調です。
天然の栂は基本的にゆっくりと成長するため、年輪の幅が狭く製品にした場合の柾目は糸柾と呼ばれる状態になっています。関西では建築や建具の材料として好まれてきた歴史があります。石川県でも古くからこの木材が様々な用途に使われてきました。カンナで削ると表面に白い粉が現れます。以前は鉱物の結晶であると考えられていましたが、現在ではフロコソイドという有機物質であることが分かっています。一般的な木材の多くは放置しているとネズミにかじられることがあります。しかしこの木材はネズミにかじられないため重宝されてきました。芯材は淡桃褐色で多少紫色を帯びており、辺材はやや淡色となっています。年輪を明確に見ることができ粗い肌目が特徴的です。針葉樹材としては比較的重くて硬いという特徴があり、耐久性は中庸とされています。簡単に乾燥させることができる点もこの木材の魅力です。
栂は建築資材の他にも包装やパルプ材、枕木や車両など様々な用途で使われています。特にアメリカ産のものが多く輸入されており、比較的安い価格で購入することが可能です。かつては杉が建築資材として使われていましたが、現在ではアメリカ産の栂も多く使われるようになりました。栂はコストパフォーマンスの優れた木材なので石川県内でも多くの需要があり、堅調な取引状況が続いています。

 

 
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