静岡県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

静岡県の栂の取引状況は近年その需要が非常に増え、好調なものとなっています。その理由は一時期低迷をしていた木造住宅の建築が近年また増える傾向にあり、その際に従来の住宅とは異なる室内の装飾部分の造形が注目されるようになっているためです。その室内の造形に適した木材が栂であり、様々な工芸品に対する需要と相まってその取引状況が好調なものとなっているのです。
静岡県は県土の59%が民有林であり、そのため古くから林業が盛んな地域となっています。高度成長期には国内の木造住宅の需要が好調であったことからその重要な建材となる杉や檜が多く栽培されていましたが、木造住宅の減少と海外からの安価な木材の輸入によりこれらの産業は非常に苦しい時期を迎えており、また国内需要も著しく落ち込んでいました。そのため静岡県では建材以外への需要を求めるとともに、杉や檜に変わる価値のある木材の模索を行っており、その中で栂が非常に効果的なものと認められるようになったのです。
栂のメリットは様々な面にあり、非常に軽量で加工のしやすい点や、木目や木肌が美しい点がポイントとなっています。木目や木肌の美しさは他の高級木材に勝るとも劣らぬものと評価されることもあり、場合によってはその価格も非常に高くなっている時期も少なくありません。
栂が近年の木造住宅の中で最も評価されるポイントは、様々な複雑な装飾を行うことができると言う点です。近年は日本にも様々な洋風建築の技術が導入されるようになっており、和洋折衷のような住宅も非常に増える傾向にあります。木造建築の風合いを活かしながら洋風建築のようなデコルテを表現する場合も増えており、この場合に加工しやすく美しい栂が最も適していると考えられているのです。そのため、同じ木造住宅でありながら新たな需要を獲得するために非常に重要な木材となっており、静岡県もその流通に非常に力を入れていることから栂の取引状況は香ばしいものとなっています。

 

 
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