青森県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

世界遺産の白神山地を抱えている青森県の森林面積は全国9位です。
およそ63万haの森林が広がっており、当然その分の生産や取引は行われています。青森県では国有林と民有林、それぞれの森林のほとんどで群生している樹木は杉です。特に杉の人工林は国内4位の規模を誇っており、取引状況も杉が目立っています。正確に言えば杉と赤松、そして明日桧が主な木材となっており、全国的に出荷されている状態です。杉も赤松も昔から建材として親しまれていますが、近年では雑菌や害虫に対して効果がある香りを放つ「ヒノキチオール」が特徴的な明日桧のが特産になるほど取引されています。とはいえ全盛期だった80年代と比較すれば対応が迫られているのが現状で、県では国外への取引も含めた対応が講じられているのが現状です。
なかでも製材工場の増加及び充実化は実現が早急に求められている課題となっています。
先述したように県内ではともかく、その品質の良さから県外での需要が高まっている青森県の木材は大規模な製材工場はなく、せいぜい中規模の工場しかありません。おまけに生産量も限定的で、木材によっては生産が見込めない樹木もあるほどです。
そんな青森県における栂は、木材市場の主力になっている樹木と比較すればその価値は下回っていると言わざるを得ません。北海道にはなく、かわりに四国と九州、そして本州に分布している栂はもちろん青森県にも育まれていますが、その規模は杉や赤松などとは比べ物にならないです。その理由は単純で、植林されていないからです。すなわち現在自然界にある栂は天然というわけですが、それゆえに伐採が容易に出来ない場所で発見される事が多々あります。乾燥には馴染んでくれるものの、非常に締まりやすい性質を持っているので加工する際は気をつけないと割れてしまうリスクが高いです。古くから建材や船舶材に用いられており、他にも楽器の素材や庭木、パルプとして重宝されています。

 

 
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