高知県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

豊かな自然に囲まれた高知県は、四国の太平洋側にある地域です。総人口は約69万人で全国で3番目に人口が少ないのが特徴です。清らかな水の流れが魅力の四万十川や、国の名勝の室戸岬や国立公園の一部となっている足摺岬、それに四国カルストなどがあります。山地率が89パーセントと高く、いくつもの山がある地域でもあります。そのため豊かな山林がたくさんあり、自然に恵まれている地域です。
県別の森林面積の全国平均は67.26パーセントですが、高知県の場合は県土の84パーセントにも上り、日本で最も森林面積の広い県でもあります。県内の森林面積の68.7パーセントは私有林で、国有林は20.8パーセント、公有林は7.9パーセントとなっています。国内で最も森林率が高いエリアですが、林業に従事する人が減っているため、山地が荒廃してしまっていることも少なくありません。
高知県の栂の取引状況ですが、県内の人工林に植えられているのは、他の地域同様にスギが多いのが特徴です。しかし四万十川の上流付近に自生している天然の栂は、住宅の内装などに使われることも多くあります。この地域で産出されている木材を加工した、栂ならではの木目やピンクがかった色を活かした無垢フローリング製品もあります。もともと関西では栂を使用した住宅が人気がありました。他の材木ほどではありませんが、現在でも栂を好む人には選ばれています。四国にある製材所の中には、このあたりの高地に自生する栂にこだわって取り扱っているところもあるようです。
とはいえ県内の森林面積の65パーセントを占めている人工林では、ほとんどがスギやヒノキを植林していることに加え、栂は成長が遅く、扱いの難しい癖のある木材でもあるため、それほど多くの量が流通することはないのが現状です。しかし栂ならではのまっすぐな木目やピンクのような色にこだわる場合や、文化財や寺院の修復などの場合には、用いられることもあります。

 

 
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