熊本県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

九州地方にある熊本県は、太平洋側気候に属している温暖な気候が特徴の地域です。とはいえエリアによって気候には違いがあり、阿蘇地方は夏には猛暑になることも多いですが、冬場は雪は多くないものの厳しく冷え込むことも多いエリアです。しかし天草地方は真冬でも阿蘇地方ほど冷え込むことは少なく、球磨地方は寒暖の差が激しい地域となっています。
そんな熊本県の面積は740,900ヘクタールで、そのうちの林野面積は460,949ヘクタールです。県内の林野面積のうち14パーセントを占めている国有林は63,565ヘクタールで、86パーセントを占めている民有林は397,384ヘクタールとなっています。民有林の内、公有林は13パーセントで1,934ヘクタール、87パーセントを占める私有林は345,450ヘクタールあります。そんな民有林の61パーセントが人工林で、天然林は32パーセントです。
民有林に生えている樹種の中で最も多い物はスギで、全体の35パーセントを占める137,907ヘクタールがスギ林となっています。ついでヒノキ・クヌギが多く、竹・マツと続きます。そのほかのさまざまな広葉樹などを合わせたものが全体の29パーセントを占めているのが特徴です。熊本県の栂の取引状況ですが、現在では他の樹種に比べるとそれほど多くない状況です。しかしマツ科ツガ属の針葉樹である栂は、幅広い用途に使われていて、昔から神社や仏閣の建築材料として使用されているほか、スギの代用として使用されることもあります。
現在でも神社の神楽殿やお寺・文化財などの修復に使われたりすることもあるのが特徴です。国内では関西で人気が高く、住宅にも用いられます。本州の南部や四国・それに九州に昔から分布していたこの常緑の針葉樹は、ネズミの害が少ないことでも知られていて、1469年から1487年頃に築城された熊本城の床などにも使われている木材でもあります。県内の製材所では熊本県産の栂材を手に入れることも可能です。

 

 
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