岐阜県の栂(つが)の取引状況(2019)

 

岐阜県は県内の土地の多くが山岳地を占めるため古来より林業が盛んな土地でした。
特に栂はマツ科ツガ属に分類される常緑性の針葉樹で、山の尾根筋でよく生育することと、水分調節に優れた樹木のため需要も高く屋久島と並ぶ国内有数の産地です。

 

岐阜県には環境生活部環境企画課林政部に林政課と恵みの森づくり推進課、県産材流通課と森林整備課、治山課を配置するなどをして県をあげて林業を保護しています。
切り出したツガやヒノキを建材や木工品などの工芸品に利用する業者も多く、県外との取引状況も活発です。
地元民と栂との関わりも深く加茂郡には八百津町久田見栂ノ木という地名があり、ユネスコの世界遺産に登録されている白川郷の駐車場には栂の木台という名がつけられていることから、岐阜県民と栂の深い縁を物語っています。林業とともに漆の技術の歴史も深く、漆を塗ることで耐熱性と防汚性、耐摩耗性に優れた工芸品になるツガの櫛や弁当箱、お椀などの食器は県の重要な輸出産業です。2013年版の国際自然保護連合が作成する絶滅のおそれのある野生生物のリストに栂が掲載されてからは林政概要や林業統計書、森林林業統計書を作成しながら栂を植樹しつつ取引状況を保つようになりました。
そのかいあって2013年頃の国内のツガを含む針葉樹の割合は7パーセント、岐阜県は9パーセントでしたが、2018年の国内の針葉樹が6パーセントに落ちたにも関わらず岐阜県は9パーセントを維持しています。住宅用のフローリングなど無垢内装材として多く利用されてきましたが、近年は栂の食器にウレタン塗装を施すことで食器洗い機にも対応させ、昔ながらの文化と現代の文明をミックスさせてることで新たな分野にも需要を伸ばしました。屋久島には屋久杉やモミ、ツガを主体とする温帯針葉樹林が分布していますが、1993年にユネスコに登録されたことから針葉樹全体が保護を重視されて伐採や集荷ができない分、岐阜県の取引状況は今後も上向いていくと予想されています。

 

 
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