石川県のケヤキの取引状況(2019)

 

ケヤキはニレ科の広葉樹で、国内では北海道を除いて全国的に分布しています。硬く重たい大きな木に育つため大黒柱や梁などの太くて大きな木材を必要とする部分に使われていることが多く、強靭で使用環境による狂いも少ないという性質を持っていることから古くから日本で最良の木材として扱われており、特にお寺の建築には欠かせないものとなっていました。材の肌目はやや粗いものの、仕上げ面を磨くとよい光沢が出ることと木目が明瞭で美しいこと、耐朽性があるため座卓やタンスなどの家具にも使われている他、太鼓の胴や工芸品の材料、お椀やお盆などの食器の材料にも使用されます。石川県では、平成8年から5年間にわたり「ケヤキ百万本植栽運動」の事業を通じて約32万本のケヤキが植栽されるなど、林業試験場を中心にケヤキの優良材生産に向けて取り組んでいます。以前にも同様に植栽を行っているため、石川県におけるケヤキの樹齢は30〜40林齢が多く、樹高が20メートル前後で直径も20センチ前後と収穫可能時期に来ているものもありますが、ケヤキの価格は直径が3センチ増加すれば材価は1割増、10センチ増加すれば4割増という直径重視であることから、直径50センチ以上に仕立てるために間伐や定期的な下刈りによって害虫による被害軽減を図っているのが現況です。現在の石川県における取引状況は、輸入材が多く入っているものの県産材は安定した供給を可能としており、地域別には輪島市や穴水町、珠洲市などの奥能登を中心とした地域での生産がメインです。原木での取り扱いは少なく、主に一枚板や柱材、角材で流通されており、厚さと幅が30センチ前後で長さ4メートル前後の柱材なら40万円、厚さ5センチ幅40センチ長さ2メートル前後の一枚板なら30万円前後が相場となっています。今後は更なる生産性の向上に向けて、県と林業試験場によるケヤキ人工林の計画的な造成と、稚樹の育成が期待されています。

 

 
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