東京都のケヤキの取引状況(2019)

 

東京都は人工林の育成に昔から力を入れていて、ケヤキのような天然林そのものの数が多くありません。森林の取引状況に関しても、人工林の伐採や供給に力を入れなくてはいけない現状であるため、この点を理解しておく必要があります。
元々、東京都は人工林の林齢構成にかなりの偏りが存在するという問題点が指摘されていました。昔から木材として利用するために森林の育成に力を入れていたため、現在ではその育成が終わって伐採をしなくてはいけない年齢の森林が非常に増えているという事情があります。ただ、木材価格が長期で低迷したということもあって、東京都全体の林業が低迷しているという時代背景があり、この木材供給のための伐採が上手く進んでいません。
これは、ケヤキのような天然林ではなく人工林の分布をみると非常にわかりやすいです。木材を供給するために人工林を育成してきましたが、伐採作業が停滞したため人工林の蓄積量が50年前の比較して3倍以上に膨れ上がっています。つまり、それだけ東京都内に人工林が数多く存在することを意味します。問題なのは、本当ならば伐採をしなくてはいけない人工林が非常に多いという点です。木材は、建築や家具などに利用するだけではなく様々な用途に使うことができます。それにもかかわらず、東京都での木材の供給量はそれに追いついていないので、人工林の問題を解消しなくてはいけなくなっています。ですから、ケヤキのような天然林の育成などに関して積極的に力を入れることができないという背景が存在します。
現実的にも、ほとんど生育していない天然林も実は蓄積量が増えています。天然林の蓄積量そのものは人工林の半分以下になっていますが、それでも50年前と比較すると約1.5倍程度には増えている現状です。つまり、ケヤキのような天然林の木材の供給が進んでいないことがわかります。ただ、近年は景気の向上もあってこういった木材の消費量が増えているのも事実です。この傾向が続けば、天然林や人工林の管理や供給が円滑に進む可能性は十分にあります。

 

 
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