栃木県のケヤキの取引状況(2019)

 

栃木県の総面積はおよそ64万ヘクタールで、そのうち森林面積は35万ヘクタールと森林率は総面積の55パーセントを占めています。森林面積割合は国有林が36パーセントで民有林は64パーセントとなっており、国有林内には優れた自然景観を持つ戦場ヶ原や茶臼岳などがあり県民を含め国内で広く親しまれている他、国有林の80パーセント以上を保安林に指定し、水源林としての役割や生物多様性の保全を図るために間伐などの整備に努めています。木材の年間生産量はスギやヒノキを中心に全国13位の約43万立方メートルで、その9割が製材工場で柱や梁に加工されます。栃木県におけるケヤキは主に塩原渓谷の塩原ダム付近から塩原温泉にかけての箒川周辺、および鹿股川周辺に見られるものの、植林には不適と思われる急峻な立地に多く、塩原渓谷の景勝管理上からも保護林としての性格が強くなっています。しかし、栃木県はケヤキの成長を阻害する降雪が少なく、一年を通じて気温と降雨のバランスが良いという気候風土からケヤキの生育との相性が良く、木が真っ直ぐ伸びるため木目が美しい上に摩耗に強いという特徴があります。スギやヒノキの陰に隠れていますが高級材として大黒柱や鴨居、和家具材や社寺建築用で高い需要があり、生産量は多くはないものの安定供給されているのが現況です。取引状況は県内の木材加工会社がほとんどで、県外への搬出はほぼありません。5〜10年乾燥させた角材が取引の主流で、他に一枚板や丸柱、平角材などがあり、厚さ6センチ幅40センチ長さ2メートルの角材なら6万円、厚さ7センチ幅1メートル長さ2メートルの無垢の一枚板は20万円、乾燥10年越えの縦横50センチ長さ7メートルの大黒柱用になると200万円前後と高級木材として取引されています。今後は伐採期を迎えたケヤキ人工林の活用と若返りに向けた植樹の増加、流通販売方法の多様化に向けての活動が急務となっています。

 

 
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