山形県のケヤキの取引状況(2019)

 

山形県は県土面積の72%が森林で、森林資源の維持と自然環境を大切にして地球温暖化の防止などに役立てるため、緑の循環システムである「やまがた森林ノミクス」を実践してきました。川上では木を伐ったら植える再造林に努めるだけでなく、林業事業者が効率的に生産できるような体制づくりを行い、支援制度を充実させています。川中では原木の安定供給体制を確立することに努め、県産材製品の生産と消費拡大を図る、「やまがたの木(A材)利用拡大戦略」を実施しています。大型集成材工場や木質バイオマス発電施設が稼働で需要が見込まれる山形県内の木材、住宅用の木材の使用量増加や高品質で高付加価値の木材製品の加工体制の構築に取り組む制度です。

 

ケヤキを含む広葉樹の取引状況は、「やまがた森林ノミクス」を実践してから広がりを見せています。特に需要が伸びているのは住宅の内装資材で、フローリングに多く用いられています。川下で県産木材を使用した住宅建築等を支援する取り組みで、県産認証材を使用した新築住宅の施主に県産認証材の使用割合に応じて定額の支援を継続することで、さらにフローリング資材以外でも需要が伸びるでしょう。これまで木工資材やきのこ用のオガ粉として多くの需要がありましたが、これからさらに充実した制度の活用と戦略の充実を図ることで、山形県内の需要が高まる可能性があります。木質バイオマス発電施設がどこまで成長するかによっても、需要や取引状況に大きな変化が生まれます。ケヤキの取引状況を活性化させるためには、山形県内で林業に携わる人達を育成することも急務で、林業経営学科を設けて若手育成に努めていることも大切なポイントです。独自に青年林業士を認定する取り組みで、知識や技術をみにつけるだけでなく即戦力となる人達を育てているところも、林業の様々な分野で活性化が期待できるでしょう。県内の製材工場が減少しなおかつ、原木の単価も年々安くなっていくため、取引を活性化するためには品質の維持に努めることも必要です。

 

 
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