北海道のケヤキの取引状況(2019)

 

北海道といえば、その広大な面積から農業大国として知られています。野菜や米、果物のほか畜産も盛んであり、肉や乳製品、卵などの生産量もその多くが日本一となっている地域です。それと同時に、山林の面積も非常に大きく、木材の供給地としても重要な地位を占めています。ケヤキの木は温暖な地域であればどこにでも自生しますし、北海道のような寒冷地でも平地に近いところでは生育が可能です。そのため、ケヤキ材の生産量も北海道は群を抜いています。落葉樹でもあり、秋には紅葉を見せるところから観光資源としても、また木材としても使いやすいケヤキは北海道では市街地に生えていることが多く、非常に親しまれているのです。温暖化が進み、年々平均気温が上がっていくため、平地だけではなく山間部でもケヤキの姿を多く見るようになりました。しかし、異常気象も増えたため台風や豪雨によって山林が削られ流されるなどして、北海道の林業は大きな打撃を受けてもいます。これを受けてケヤキの価格はあまり安定していないのが現況です。建物や家具などに用いられるため、需要の方は安定していますから、災害の影響が落ち着けば取引状況は改善するものと予想されています。ただ木材はその生産に非常に時間がかかるものですし、運搬にもしっかりとした流通経路を求めるものです。本州や海外に向かう際にはフェリーなど海路を利用しますが、港までは陸路の輸送が不可欠になります。そのため、道路の復旧が進まなければ出荷や輸送もままならないのです。日本各地で台風や豪雨、それに地震の影響が相次いでおり、倒壊した家屋の復旧のために建築物資の需要は確実に高まっているのですが、復旧の遅れている地域では交通網も寸断されており、木材のような建材が届かないというジレンマも起こっています。いわゆる国土の強靭化によってこういった問題が解消されれば、さらにケヤキを中心とした北海道の木材市場の取引状況も改善していくでしょう。

 

 
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