沖縄県のケヤキの取引状況(2019)

 

沖縄県のケヤキの取引状況は、他県と比較すると平均的で良好です。これは、沖縄県の天然林の現状と関連しています。普通、日本国内では人工的に育成することができる人工林が人気を集めています。国土を強くするために、住宅などをより強固にする必要があった日本では、各県で人工林を栽培して生育を行っていたという背景があります。そのため、ほとんどの県でケヤキのような天然林よりもヒノキのような生育しやすい人工林が多くなっています。一方で、沖縄ではこのバランスが全く逆で、天然林の方が面積が非常に多いという特徴が存在します。森林資源の蓄積量を分けて確認していくと、天然林の蓄積量が80%近くも存在することがわかります。つまり、人工林の割合がわずか1割から2割しか存在しません。これは、東京都などと比較するととてもわかりやすいです。東京都は、沖縄と逆で天然林の割合が非常に低く、人工林の半分程度しか存在しません。そのため、沖縄が天然林の生育に優れた立地条件であることがわかります。民有林全体における森林資源はそれほど大きくはありませんが、天然林の割合が大きいのでこの特徴は顕著です。
また、沖縄県では林業に関する森林計画も明確に取り決めていて、これは長期的な目線できちんとシミュレーションを行っています。各市町村が森林づくりを目指して、市場に良質な木材を供給できるように努力しています。実際に、長期的な目線で地域的な特性に応じて森林の整備や保全を目標に掲げていますので、天然林や人工林の在り方をよく考えていると判断できます。具体的な対策としても、森林を所有している人に対して県から直接的に指導を行ったり、森林組合や林業関係者と一体となって様々な施策を行っていくことを宣言していますので、これだけ天然林の多い地域を守ることができていると考えられます。特に、沖縄は台風などの自然災害なども多いのでそれを防ぐための多面的な機能を目的として、ケヤキなどの天然林を利用する傾向もあります。

 

 
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