鹿児島県のケヤキの取引状況(2019)

 

鹿児島県の森林面積はおよそ93000ヘクタールで、総土地面積に占める割合は68パーセントと国内有数の森林県です。内訳は民有林が約7割で国有林が3割となっており、民有林率は県平均とほぼ同率となっています。最も面積が大きいのは霧島市、次いで県北部の伊佐市、海沿いの姶良市の順で、樹種別で見ると全体のおよそ40パーセントがスギで30パーセントがヒノキと7割をスギとヒノキで占められており、主に天降川水系を中心とした霧島市と川内川流域に当る伊佐市に優良林が形成されています。ケヤキに関しても霧島市が主な産地で、横川町から湧水町にかけて広大なケヤキ造林があります。大正初期に営林署によって植えられた国有林で、およそ14ヘクタール広さに2800本が植樹され、樹齢100年越えのケヤキが林立しています。大きいものでは幅が1メートル、高さは20メートルほどで、県内でも類を見ない広大な風景が広がっています。鹿児島県産のケヤキは木目が美しく乾燥しても狂いが少ないことが特徴で、昭和45年の大阪万博の際にはこのケヤキが大量に利用されましたが、現在ではケヤキ造林自体が少ないため流通量は極めて少なくなりました。取引状況は県内でわずかに売買されているのみで県外への搬出はほとんどなく、厚さ6センチ幅30センチ長さ1メートル前後の一枚板が15万円前後、厚さ30センチ幅30センチ長さ5メートル前後の住宅用柱材になると40万円前後と大変高値で取引されていることが特徴です。そのため一般住宅で使用されることは非常に稀ですが、鹿児島市内の鶴丸城の御楼門の復元において、一般市場に流通していない大径木を中心に使用することと県産材を活用することから、横川町のケヤキがメインに使用されることになりました。直径40センチから100センチまでで合計114本が使用対象となっていますが、鏡柱や冠木などの主要構造に使用するため60センチ以上の径級について調査が進められています。

 

 
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