徳島県のケヤキの取引状況(2019)

 

徳島県の総面積はおよそ41万5千ヘクタールで、森林面積は31万4千ヘクタールと全体の76パーセントを森林が占めています。そのうち19万1千ヘクタールが人工林で天然林は10万ヘクタールと人工林率は63パーセントです。樹種別森林面積としてはスギが全体のおよそ半分の50パーセントを占め、次いでヒノキの13パーセントと、森林面積に占めるスギの割合は全国1位となっています。スギを中心とした森林資源は毎年成長を続け、現在は40年前の3倍にまで増加しており、更に毎年約100万立方メートルずつ増加するなど今の木材生産量を続けていても資源は減ることなく増え続けるため、10年後には生産量と消費量の倍増を目指した「次世代林業プロジェクト」を展開しています。このようにスギとヒノキがメインとなっている徳島県の木材市場ですが、藩政時代にはケヤキを筆頭にモミとツガ、スギ、ヒノキの順で「五木(ごぼく)」として植樹されていました。特にケヤキは那賀川を下り河口で板材に加工されて、船で大阪方面に木材問屋に販売されるなど、藩の財政を支える中心的な木材でした。しかし、徳島県の気候風土がスギと相性が良かったことと、中央・御荷鉾・仏像の三つの構造線が通る徳島県は水分を多く含み地すべりが多い土地であっため、地すべり防止のため斜面にスギが植えられたことから、藩の持つ森林も徐々にスギに移行していきました。現在でもケヤキは5パーセント前後の森林面積がありますが、木材としての流通量は大変少なく、取引状況としては県内の木材家具製造会社や木材加工会社などがメインとなり関西方面への搬出はほとんどありません。徳島県産のケヤキは厚さ2センチ幅15センチ長さ1メートル前後の板材が3万円、厚さと幅が25センチ角で長さ4メートル前後の柱材は50万円が相場となっており、一般住宅で利用できる価格帯から大きく外れてしまったため、高級なタンスやカトラリーに加工されて広く流通しています。

 

 
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