富山県の桧の取引状況(2019)

 

富山県は背後に日本アルプスが広がっており、1945年から国内で第4位の桧の出荷量を誇っている地域です。2019年5月の取引状況は、林野庁のよる調査が開始された1985年度の数値と比較すると、約35%もの売り上げ率のアップになってることがわかります。富山県氷見市に富山県の林業センターがあり、ここで全国へと向けて卸される市場がありますが、主に京阪神・関東地域へと運ばれます。富山県の桧の特徴は、木目が鮮やかで表面に艶が出る個体となっていて住宅用建材よりも、高級家具や民芸品等に使用されるのが特徴です。また1990年〜2000年初頭までは、神社仏閣の社殿を建設する際の木材に選ばれており、この取引だけを見ると国内1位を記録していました。ところが2005年以降は富山県では桧の出荷量を年間約30万トンに制限するようになり、一気に建材としての取引は激減するようになります。出荷量の制限を加えた理由は、桧の伐採をし過ぎていたために山肌がむき出しになっている箇所が多く、土砂災害を誘発する危険性が高まっていたからです。さらに今後同じ数量の伐採を続けていくことで、約15年後には資源が無くなってしまうという予測も算出されたことに起因しています。2019年5月の取引状況は約25万トンで、最盛期だった1998年度の約45%にしか満たない状況ですが自然保全をするうえではやむを得ないことと言えます。なお、富山県は桧以外に杉・クロマツといった材木の取引も活発であり、林業センターや市場はこれら他の木材で取り引きバランスを保つことができています。2019年以降の富山県の桧の取引動向は、今後も伐採数量に制限が加えられていくので、年間総量は約25〜30万トン以内になされていきます。住宅用建材では足らない総量ですが、高級家具など限られた製品製造に用いるものとしてでは十分な取引率ということが可能です。富山県を代表する良質な桧は、国内で大切に使用なされていくでしょう。

 

 
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