鳥取県の桧の取引状況(2019)

 

鳥取県は日本海気候の影響で冬は大陸から湿った空気が流れ込み、連日雪に見舞われる地域です。この気候の影響を受けて、鳥取県で伐採される桧は幹が太くて内部の木の筋が目立たない良質なものとなっており、市場で高値で取り引きされています。鳥取県の大山が桧の産地になっており、その麓にあたる米子市に鳥取県林業センターと取引市場があります。2019年6月の桧の取引状況は、前年度の約6.2%アップの56万トンになっていること林業センターの報告書からみることができます。林野庁による木材取引状況の調査が開始された1985年から今日までの取引数値を見ると、鳥取県で桧の年間売上が最高値を達していたのは1995年です。この時は約74万トンの出荷で売り上げが約16億円となっており、鳥取県にとって農業の次に大切な産業であったといえます。このピークは国内の戸建て住宅の販売個数の最大値を記録した時と同時期であることから、住宅用建材としての需要が高かったのだと結びつけることが可能です。鳥取県の桧の場合、幹が太くて筋目が少ないことから、住居の要といえる柱や梁に用いるのに適したものです。この時、特に太い材木を必要とするので1本あたりの価格が高いものが取引されていたことが大きな売り上げへと繋がったのでしょう。なお、昨今は木造建築よりも地震・台風等の被害を最小限にできる鉄筋建築が主流になっているので、2019年の売上は大きく下がりました。現在の主な取引先は神社仏閣などの建築や修繕用の材木としての需要が高まっています。主に和歌山県・三重県・名古屋方面の市場へと運ばれ、各地で加工しています。鳥取県では2001年から環境保全運動もするようになっており、桧を伐採した跡地に新たに苗木を植えるようになりました。今後また桧の需要が高まった際は、数多くの伐採を可能にできる環境を整備するためであると伺えます。2019年以降の動向は、現水準を保ちつつ必要な範囲で市場に出荷する安定供給が見込めます。

 

 
トップへ戻る