京都府の桧の取引状況(2019)

 

京都府の面積の約7割が山間部という環境から、江戸時代から今日まで林業が盛んな地域です。主に府内の東部に位置する比叡山系で桧・杉・赤松が伐採されており、重要な産業を担っています。京都市山科区に府の林業センターと取引市場がありますが、ここでの桧の取引状況は2019年6月現在で約28万トンとなっており、取引されている木材の中でもっとも多いことが伺えます。林野庁による各地の木材取引状況調査が開始された1985年から現在まで、京都府の場合は当初は杉の取引率の方が高かった時期があります。しかし1998年に国内で1位の桧の取引市場を有していた富山県が総量規制に踏み切ったことで、2位の京都府が1位へと躍り出る結果となり今日に至ります。京都府で伐採されている桧の特徴は美しい木目と強度で、主に建材として使用することが可能です。京都府の場合、木材の取引市場は府内と京阪神・山陰地方に限られていますが、神社仏閣が数多くあるからこそ小さな市場であるにも関わらず年間売上が高い傾向にあります。また輸送先への距離が短く、加工の必要も少ないことから1本あたりの販売価格が約4万円(2019年4月現在)と、他の市場と比べて安くなっているのも特徴の1つです。全国的に木造住居や建築物が減少傾向にあり、47都道府県の木材市場は年々縮小されていっていますが、京都に限っては2000年以降は市場規模が緩やかではではあるものの、拡大傾向にあります。これは桧の取引が住宅建材ではなく神社仏閣の修繕用に重きを置いているが故の結果であるといえます。限られた出荷先になりますが、必要不可欠な木材を取り扱っているということで安定した収益を得られています。2019年以降の京都府の桧の取引状況の動向は、劇的な増収・減収はなく現在の数値をキープしていくことでしょう。なお、自然環境保全の動きが府内で活発になっているので富山県のような伐採に関する総量規制が設けられる可能性もあるので、この動向は注意していかないといけません。

 

 
トップへ戻る