富山県の赤松の取引状況(2019)

 

富山県は北陸地方に位置しているため、冬は湿った冷たい風の影響で雪が多い地域になります。県の主な産業は漁業と林業であり、林業に至っては古くから重要な県の財政を担っているほどです。主に杉・樫・赤松の産地で、北アルプスの貴重な天然資源であるといえます。なお、2001年からは富山県では木材の伐採に対して総量規制を設けており、一定量の数でしか取引されていないのが現状です。2019年6月の富山県の赤松の取引状況は、前年よりも約2.4%減少した8万トンです。木材全体の取引状況は約37万トンなので1/3を占めてはいるものの、奈良県・和歌山県が約50万トンもの数量で出荷しているのと比べると、富山県の木材取引数は少ないといえます。1984年に林野庁が全国の木材取引状況を調査した際は、富山は約62万トンもの木材取引をされており、北陸地方有数の出荷数量であったことが伺えます。この当時は総量規制をなされておらず、需要に対してそれ以上の供給をおこなっていたといっても過言ではありません。山林の伐採が懸念され始めた1990年代後半、木材の主要産地であった北アルプスを県が調査したところ、約6割もの面積で土壌がむき出しになっている箇所が見つかり、自然環境破壊が深刻化していることが浮き彫りとなりました。この調査結果から2001年に富山県は木材生産と出荷の総量規制を実施して、2030年まで規制を続けると正式表明をおこなったのです。1984年から2000年までは全国第3位の木材取引市場を有していましたが、2019年現在は全国第15位にまで下がっており、県の主要産業から林業は除外されています。木材市場は国内需要に限定されて、赤松は割り箸・爪楊枝等の加工品向けに出荷しています。2019年以降の富山県の赤松の取引動向は今後も現在の出荷数量を維持して、少数ではあるものの国内需要に対して適正数を維持して供給されていくことでしょう。

 

 
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