岩手県の赤松の取引状況(2019)

 

岩手県は本州の北部に位置している県で、北海道に次ぐ広い面積を有しています。
そのほとんどは森林に覆われているものの、日本海側気候や太平洋側気候、そして内陸性気候に太平洋側沿岸部など地域ごとで気温や天候が様変わりするので厳しい自然と言っても過言ではないです。おまけに盆地になっている地域もあるため、標高があるわけでもないのに冷え込みが厳しい土地もあります。簡単に表現すれば内陸と沿岸、そして北部と南部でかなり気温差があるのが岩手県の特徴です。
「そんな土地に赤松があるかないか」と問われれば、その答えはイエスとなります。
そもそも赤松が分類されているマツ科の樹木は豊かではない土地でも育つ事が可能で、なかでも赤松は耐寒性に優れた樹木です。そのため日本全国に自生しており、土中に埋めても腐りにくいおかげで建材として用いられてもいます。他にも水に濡れても傷みにくい特性と松油が多い特性のおかげで、薪としても重宝されているのが特徴的です。もっと具体的に言えば梁や床柱など建物の支えに利用されています。
この赤松の特性と岩手県の環境を踏まえれば自生しているのは当然です。
しかし実は岩手県にしかない赤松があり、それは南部赤松と呼ばれています。県木にもなっているこの樹木は久慈地方の侍浜松に岩手町の御堂松、そして東磐地方の東山松がそれぞれ有名で、三大ブランドと呼ばれているほどです。通常の赤松と同じく建物の梁に利用され、その強度の高さから白や神社仏閣の修繕用の素材に使われたりもしています。他にも松脂のおかげでフローリングの材料にもなっているものの、その強度の高さと青カビの被害の受けやすさなど取り扱いにくいところが多いので取引状況は芳しくないです。おまけに輸入材の勢いは凄まじいため、現状は放置されているのが常になっています。
建築材以外では盆栽の樹木に転じて定着しつつあるものの、芳しくない取引状況を突破するほどではないです。

 

 
トップへ戻る