鹿児島県の赤松の取引状況(2019)

 

鹿児島県は九州の最南端にある県で、三方を海に囲まれた自然が豊かな県です。南北に長い形状をしているため北部と南部では気候が大きく異なり、1月の県北部では最低気温が山形県とほぼ同じ程度まで下がりますが、南部では春の花々が咲き始めるなど、温帯と亜熱帯の2つの気候を持っていることが特徴です。鹿児島県の総面積はおよそ15万7千ヘクタールあり、森林面積は10万2千ヘクタールで林野率は65パーセントを占めています。このうち民有林は8万2千ヘクタールで森林面積の81パーセントを占め、国有林は1万9千ヘクタールの19パーセントとなっています。その多くは杉と桧ですが、鹿児島県はシラス台地で土地が痩せていることから赤松の生育にも適したエリアで、特に霧島山周辺の霧島赤松や奄美大島の琉球赤松などが全国的にも有名です。材質は軽いものの強靭で、水や土の中でも腐りにくいことが特徴となっており、材面にヤニが出るため表面に出るような使い方は少なく、主に根太や梁、土台など建築物の構造材や板材などに使用されています。しかしながら、平成20年にマツノマダラカミキリに対する殺虫剤の空中散布が中止されて以降、マツ材線虫病による赤松の被害量が増加すると共に、平成23年1月の霧島山系新燃岳の噴火においても霧島赤松は枯れ死が多発しており、その率は60パーセント近くと高く、調査場所によってはほぼ壊滅状態となっているところもあります。このような状況の中で鹿児島県産の赤松は流通量が激減していますが、取引状況としては直径15センチ角長さ4メートルで2万5千円、25センチ角の4メートルは7万円、30センチ角を超えると10万円超になるなど高値で取引されています。赤松は萌芽性が著しく低い上、1年を経過した種子は急激に発芽率が低下するため早期の回復は難しいものの、苗木の植樹および枯れ死木の徹底的な駆除など、赤松林を保全するための活動の継続が重要となっています。

 

 
トップへ戻る