広島県の赤松の取引状況(2019)

 

広島県は瀬戸内海に面する中国地方の県で、開けた平野部は河川流域と河口付近のみに限定される中国山地の山々が多数連なる地勢です。県の総面積はおよそ85万ヘクタールで、森林面積は61万ヘクタールと県土の72パーセントを占める森林大国です。樹種類別の面積割合は広葉樹が36パーセントと一番多く、次いで赤松を含む松林が30パーセントで桧が17パーセント、杉が8パーセントでその他が9パーセントとなっており、赤松の生産量はここ10年間で平均19万立方メートルと比較的安定して供給していますが、平成15年の松くい虫被害により生産量は減少傾向にあり、ピークは過ぎたものの未だ終息には至っていないのが現況です。広島県の赤松は瀬戸内沿岸部の中部から南部にかけて林を形成していますが、これは瀬戸内沿岸部は年間の降水量が少ないことや崩れやすい花崗岩地帯であるなどの自然的条件が理由となっています。その特徴は目が詰まっているため強度が高いことと淡い黄白色から赤褐色の色合いで、主に住宅の梁や下地材、構造材として使われる他、建具や家具などにも広く使われています。また、脂分を多く含むことから火力が強く、端材は備前焼用の薪や松明などにも応用されるなど幅広い分野での需要があります。広島県産赤松の取引状況は、主に県内の原木市場に出回っている他、県外へは島根県や岡山県・鳥取県などに流通しており、大手商社にも販売されています。更に、広島県として木材輸出にも力を入れており、中国をはじめとして韓国や台湾などにも丸太の輸出が増加傾向です。価格はロシア産の赤松が市場に出回りつつあることからやや下降気味ではありますが、丸太は1立方メートル当たり30000円から40000円程度で推移しています。高さ2センチ幅15センチ長さ2メートル前後の無塗装の板材に加工されたものは1平方メートル当たり8000円前後で取引されているため、比較的高級木材として扱われています。

 

 
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