兵庫県の赤松の取引状況(2019)

 

兵庫県は近畿地方の東部に位置し、瀬戸内海と日本海の2つの海に面しているのが特徴です。県の面積が広く、そのほとんどが山間部ということもあって明治時代から現在まで杉・赤松の産出地になっています。赤松に至っては国内第3位の出荷量を誇り、2019年6月の兵庫県の取引状況は約40万トンです。兵庫県には神戸港に林業センターと木材市場があり、豊岡・篠山・加古川に林業センターの支所があります。それぞれの地区で伐採された木材が陸路で林業センターへと運搬されますが、岡山県と鳥取県で伐採された赤松も兵庫県で取り扱っています。取引状況報告書によれば国内需要は約8万トンに対して、残りが中国・アメリカ・フランス・ベルギーとなっており過半数が海外需要に対しての供給であることが伺えます。赤松の場合、日本では住宅用建材ではなく、割り箸や爪楊枝・収納家具といったものに加工をして使用しており以前から大口取引はありませんでした。ところが海外では住宅用建材はもちろんのこと、船やエクステリア・家畜小屋の建設など多用される木材なので高い需要があります。1984年に初めて林野庁が各都道府県の木材取引状況を調査した際は、兵庫県の赤松の取引高はわずか2万トンでした。そのすべてが国内で消費されるもので、海外輸出をされてもおらず林業においては重要視されていなかったものといえるでしょう。1990年になると牛肉・野菜とともに木材も自由貿易が適応されて、兵庫県では年間240万トンもの木材輸出高を記録するようになっています。兵庫県の場合、大型貿易港があることから他県よりも短期間で輸出作業を終えられるという点があるため赤松の取引率も高くなっているといえます。2019年以降の兵庫県の赤松の取引動向は、中国・アメリカでの需要が高いままであると予測できるので、木材市場において重要な収益につながることでしょう。なお、加工場の設置する計画もあがっており、取引先を増やしていく動きも見受けられます。

 

 
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