京都府の赤松の取引状況(2019)

 

京都府は関西にある都市で、かつての首都でもあったため皇室の宮殿や神社など伝統的な木造家屋が多いことで知られています。総面積はおよそ46万ヘクタールで、そのうち森林面積はおよそ34万ヘクタールと総面積の74パーセントをを占めるなど、全国平均の63パーセントを大幅に上回る森林大国です。樹種別面積の割合は杉が20パーセントで桧が17パーセント、赤松を含む松類が23パーセント、広葉樹が40パーセントと全国的に見ても松類の割合が多いことが特徴で、樹木の齢級別構成は10〜12齢級に集中する成熟期で、間伐や枝打ちなどの手入れが必要な7齢級以下の適切な保育と搬出間伐の推進が課題となっています。しかしながら、京都市近郊の赤松林に限っては1980年代に激化した松枯れによって林相が大きく変化し、京都の都市景観としても様相を変え広葉樹林化が進行してしまいました。松枯れ低質林を元の赤松林に戻すためには、更新木が多い林は亜高木種を伐採し、少ない林は植樹が必要になっているのが現況です。このような状況の中ですが、京都府産の赤松は水中における保存性の高さが大きな特徴で、主に建物の梁や敷居の摩擦部・和室の床柱などに使われている他、土の中でも腐りにくいことから土中杭や神社の鳥居、梱包資材などにも使われており、取引状況は京都府内の製材会社を始めとして大阪や兵庫・奈良・滋賀といった関西圏を中心に売買されています。丸太よりも製材されて流通するのが一般的で、フローリング材などに使われる厚さ1センチ幅10センチ長さ2メートル前後の価格は1枚当たり約9000円、厚さ2センチで幅15センチ長さ2メートルでは10000円前後が相場です。最近では価格の安いロシア産の赤松が市場にも出回るようになっていますが、品質の良さで知られる京都府産の赤松を安定供給と景観の回復のため、手入れの体制など現場との協議や認識の一致が必要となっています。

 

 
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