和歌山県の赤松の取引状況(2019)

 

和歌山県は江戸時代から林業が盛んな地域で、杉・桧・赤松といった住宅用建材には欠かすことができない木材の産出地です。特に杉に至っては江戸時代から明治時代初期まで、幕府と政府御用地として紀伊半島南部の山林一帯が管理されていたほどです。2019年6月の和歌山県の赤松の取引状況は、前年度よりも6.9%アップの25万トンの取引高を記録していることが林業センターの報告書から見て取れます。この数値は和歌山県で取り扱っている他の木材全体の約32%であり、際立って多い数値にはなっていません。取引先は国内だと北海道・東北・関東地域で、海外はニュージーランド・カナダ・マレーシアになっています。赤松の用途は住宅用建材がメインで、強度と保温に優れていることから輸入住宅を建造する際に使用されます。国内の関東圏で需要が高くなっている理由としては、2011年と2017年に発生した東日本大震災と北海道地震で数多くの住居が倒壊し、再建するために建材が数多く必要であることに起因していると考えられます。これまでの日本家屋で用いられてきた杉・桧では耐震建物を建造するには強度が足りませんでしたが、赤松だと上下左右の振動に対して十分な強度を持っているので、耐震住居を建造することが可能です。林野庁が全国各都道府県の木材取引状況の調査を開始した1984年当時では、和歌山県の赤松取引状況はわずか4万トンしかありませんでした。これは木材の海外輸出が禁止されていたことと、当時は杉・桧が一般的な住宅用建材として取り扱われていたため需要が少なかったからです。1990年から木材の自由貿易が開始され、国内では和歌山県が最初に赤松の輸出を開始して現在に至ります。2019年以降の和歌山県の赤松の取引動向は、今後も海外輸出に主体を置いていくことが予想されます。現在は国内での需要も高くなっていますが、大きな取引高につながる需要は今後は見込めません。

 

 
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