三重県の赤松の取引状況(2019)

 

三重県は紀伊半島の東部に位置し、県の約70%を紀伊山地が占めています。東側には四日市工業地帯があることから、大型貨物船が停泊できる港も備えていて、国際貿易港として近畿地方有数の木材取引市場も併設されているのが特徴です。三重県で取り扱われている木材は杉・桧・樫・赤松の4種類で、奈良県・和歌山県・岐阜県の山林で伐採されたものを四日市市にある林業センターで扱っています。赤松のみの2019年6月の取引状況は約35万トンで、そのうちの約68%がアメリカ・カナダ・シンガポールの3か国へ輸出されていることが林業センターの報告書から見て取れます。三重県の場合、杉・桧の需要は国内で高くなっていますが、赤松に至ってはほぼ輸出用に取り扱っているといっても過言ではありません。林野庁の47都道府県別木材取引状況調査が開始された1984年当時は、三重県では赤松の取り扱いはありませんでした。その理由は木材の自由貿易がまだ開始されておらず、国内でも需要の無いものだったからです。ところが1990年になると、野菜・果物と共に木材も自由貿易がなされるようになって三重県をはじめ、奈良・和歌山でも世界各国へと輸出されています。赤松の場合、国内の木造建築では使用されませんが、海外ではウッドデッキや船・サーフボードに用いられていて需要のある木材です。三重県の赤松の輸出用取引状況を、他の47都道府県と比べると非常に高い数値になっていますが、太平洋高気圧の影響で年間を通して温かく湿った空気が山間部へと流れ込み、良質な赤松を扱っている結果といえます。県内で伐採されたものは四日市市の港から一度、東京・晴海埠頭へと向かって税関検査を受けてから輸出されます。2019年以降の三重県の赤松の取引動向は、今後もアメリカ・カナダの2か国が、取り引き相手国として大きな需要国になると予測されます。三重県にとっても財政を支える貴重な産業として、公的支援をおこなっていくでしょう。

 

 
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