宮城県の杉の取引状況(2019)

 

宮城県は東北地方の南東部に位置する県で、県西部は山間地、東部は平野が広がっており、冬季は山間地で降雪が多いものの太平洋側気候に分類された通年穏やかな風土が特徴です。総面積はおよそ72万8千ヘクタールで、そのうち森林面積は41万7千ヘクタールと全体の約57パーセントを占め、内訳は民有林が28万6千ヘクタール、国有林が13万1千ヘクタールとなっています。人工林面積は森林面積の48パーセントのおよそ19万7千ヘクタールで、樹種別面積では杉が71パーセントと最も多く、次いでマツ類の22パーセントで、齢級別では収穫可能な8齢級以上が86パーセントを占めています。宮城県産の杉は山が岩盤室で栄養が少ないため、あまり太らずに高く伸びてゆっくり成長することから目が詰まり強度が高くなっていることが特徴で、実際に南三陸町の林業グループによる検査では、全国平均を上回る強度が確認されました。この特長を活かして、住宅の柱や床・天井などに主に使用されている他、家具やインテリア、生活素材などの幅広い分野で使用されています。平成23年の東日本大震災の影響で杉の生産量はそれまでの平均30億円を大幅に下回りましたが、震災以降は一貫して回復基調にあり40億円に迫る産出額を計上しているのが現況で、流通先としては県内の木材産業が中心で、主に製材用の他はチップ用と合板用です。取引状況は直径8センチから22センチで長さ4メートルの丸太が1立方メートル当たり1万3千円、木材製品に加工された正角材は厚さと幅が10センチ前後で長さ3メートルクラスが1立方メートル当たり4万4千円、厚さ2センチ幅9センチ長さ4メートルの小幅板では4万5千円前後で取引されています。宮城県の杉の今後としては、健全な育成と質的整備を図るため7齢級以下の保育間伐などを計画的に実施すると共に、計画的な造林や植樹などによる森林資源の確保が急務となっています。

 

 
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