岩手県の杉の取引状況(2019)

 

岩手県と杉は切っても切れない関係です。
元々この樹木は日本の固有種で、古代から国内に自生していました。伊勢神宮や大神神社など古来の信仰と深く関わっており、その背景には自然物に神様の姿を見出していた日本人ならではの宗教観がうかがえます。そんな杉はご神木としてだけでなく、戦後に行われた拡大造林の素材になった事で有名です。実際に約12パーセントの国内の森林は杉であると言われています。岩手県にも杉山や杉林は数多く点在しており、何よりも岩手県には「白山杉」というご神木があるほど親しいです。「白山杉」は岩手県花巻市大迫町にある白山神社にあり、木には疱瘡の神様が宿っているとされています。発祥は不明ですが、揺りかごを奉納すると疱瘡が治るという伝承がある模様です。
松とは異なってこれといった天敵はなく、むしろ土砂災害や風の被害に強い樹木として知られています。
北海道に続く面積の広さと特徴的な地形が複数存在している事によって気温の差が激しく、天候にも差異がある岩手県にうってつけであるものの、この樹木は日光を遮る特性が強いので他の動植物との共生が難しいです。おまけに需要や搬出の低下のせいで放置状態となっているのが現状となります。付け加えるなら樹木のブランドとして名高い県は秋田県、そして奈良県と静岡県です。基本的に日本各地にあるのでどこでも入手でき、実際にホームセンターでも購入できます。しかし高品質な素材ともなれば先述した3つの県は外せないです。
そういった意味では岩手県における杉の取引状況は見込みはないものの、全くないわけではありません。
県内の建材専門店や製造加工業者で当たり前のように取り扱われているうえに、国内の生産量では第6位に入っています。この樹木はまっすぐな繊維で構成されているので、その繊維に沿って鉈を振り下ろせば簡単に割る事が可能です。要するに加工しやすく、害虫や水にも強いうえに素朴な色合いが素材として人気を集めているので期待は出来ます。

 

 
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