宮崎県の杉の取引状況(2019)

 

宮崎県は日照時間と降水量が全国でも上位で、県民所得に占める第一次産業の割合が国内で最も高い県です。中でも林業は国産建築材料の供給基地の役割を担っており、安定した所得と林業の担い手が確保された魅力ある産業として、県の大きな財源のひとつとなっています。宮崎県の森林面積は約59万ヘクタールで県土の約76パーセントが森林で占められており、民有林と国有林の割合は7対3で、生産される木材の量は北海道に次ぐ全国第2位の林業県です。加工と流通の合理化が図られているため品質の確かな木材が安定的に供給されていると共に、住宅や公共の建築資材はもちろんのこと、エネルギー資源として活用するなど多様な分野での利用が進み県の産業をリードする存在となりました。杉に関しては、丸太の生産量がおよそ181万立方メートルと27年連続で全国トップという実績を持ち、時点の秋田県の生産量のおよそ109万立方メートルを大きく引き離しています。雨が多く温暖な気候が杉の成長に適していることから、江戸時代に飫肥藩が財政の立て直しに植林を奨励し、今では「飫肥杉」のブランドで宮崎の特産品として知られています。現在では県で生産される木材の約70パーセントが杉で、そのおよそ65パーセントが伐採可能な8齢級で占められていますが、その特徴は油分を多く含み虫が付きにくいことで、主に建築資材として使用される他、水をはじき易く軽量で弾力性に富み加工しやすいことから生活素材にも最適です。現在の宮崎県産の杉の取引状況は、直径14〜22センチまでの丸太で、長さが3.65〜4メートルの価格は1立方メートル当たり12000円前後となっており比較的安定して供給されています。丸太は主に県内の木材加工業者との取引がメインで、加工後は全国の木材市場に流通していますが、最近では中国への輸出が強化され、廈門市木材総公司と相互協力で年間100万立方メートルの輸出を目標としています。

 

 
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