徳島県の杉の取引状況(2019)

 

徳島県は、県土面積の75%を森林が占める全国でも有数の森林県です。
森林のほぼすべては国有林ではなく民有林で、その割合は徳島県全体の94%も占めています。
民有林の63%は杉と桧の人工林で、その蓄積量は年々増加しています。
徳島県の森林面積の82%は私有林ですが、こちらも林業の衰退が激しく管理放棄される状況も増えてきました。
人工林の蓄積量が増えたり管理を放棄する私有林が増えている理由は、木材価格の低迷です。
木材価格が低迷する取引状況が続いているため、林業が激しく衰退しさまざまな悪影響が心配されています。
実際に2019年の製材用素材価格の取引状況を見ても、徳島県の杉は全国平均と大きく変わりません。
日本全体で国産材の価格が低迷している取引状況が続いていますから、それと同じ程度なら林業が衰退するのは仕方がないのかもしれません。
40年ほど前と比べてみても3分の1まで価格は低下していますから、林業関係者には厳しい時代と言えるでしょう。
また徳島県で林業に従事する人の数も、年々低下し高齢化も進んでいます。
このままでは杉の取引状況の改善が見込めないので、徳島県もさまざまな対策を行っています。
現在は生産と消費の倍増を掲げるプロジェクトに徳島県が取り込んでおり、県産の杉の需要が高まれば木材価格も上昇するでしょう。
木材価格が上昇すれば林業への注目が集まり就業者も増え、人手不足や高齢化の問題も解決します。
取引状況の健全化は林業全体へ好影響を及ぼすので、プロジェクトの成否が今後を大きく売らないと言っても過言ではありません。
プロジェクトを策定した徳島県も、県産の杉を使った構造材や内外装に使用した木造住宅を毎年100棟以上建築したり、公共施設にも積極的に使うようにしています。
さまざまな方法で県産の杉の利用促進策を行っており、こうした取り組みが実を結べば生産と消費の倍増を賭けゲルプロジェクトも成功に近づくでしょう。

 

 
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