愛媛県の杉の取引状況(2019)

 

愛媛県は四国の北西に位置する県で、瀬戸内海地域の地理的な影響により降水量は比較的少なく晴天の割合が高いことが特徴で、相対的に乾燥傾向にあります。しかし、四国山地により瀬戸内海側と宇和海側では気候が異なり、冬の季節風は四国山地が風をブロックするため宇和海側は弱く、瀬戸内海側は関門海峡を吹き抜けてくるため強くなります。愛媛県の総面積は57万ヘクタールで、そのうち森林面積はおよそ40万ヘクタールと総面積の約70パーセントを占める森林県で、森林面積の90パーセントを占める36万ヘクタールが民有林となっており、人工林の占める割合は61パーセントのおよそ22万ヘクタールです。この人工林が現在成熟の過程にあることから、森林資源は年間約162万立方メートルの蓄積が増加しています。樹種別構成では杉が48パーセントで桧が49パーセント、松その他が3パーセントの割合で、齢級別に見ると杉は10齢級をピークにピラミッド状を呈するなど著しい偏りが見られるのが現況となっています。愛媛県産の杉の生産量はおよそ31万8千立方メートルで全国ランキングで12位と生産量が多く、四国山地の清らかな水と夏場の安定した気候により目が詰まり硬いことが特徴です。実際に県林業試験場で実施した強度試験と短柱縦圧縮試験では、圧縮強度曲げ強度共に建築基準法施行令で定められている基準を大きく上回る結果となっており、建築用材として十分な強度を持っていることから「えひめ材」のブランドを冠し全国に流通しています。現在の愛媛県産の杉の取引状況は、原木市場では直径18センチ以上長さ3メートルが1立方メートル当たりおよそ1万6千円で、県内出荷量は40パーセント、県外出荷量が60パーセントと過半数以上が県外への出荷です。愛媛産の杉の今後の課題は、幼齢杉の育成及び森林資源の確保と共に、木材需要に弾力的に対応できる長伐期施業への転換を推進することとなっています。

 

 
トップへ戻る