鳥取県の杉の取引状況(2019)

 

鳥取県は中国地方の日本海に面した県で、全国で7番目に県面積が小さく人口は全国で最も少ない県です。鳥取砂丘の印象から暑くて乾燥している地域と思われがちですが、実際には典型的な日本海型気候で、隣接する岡山県や島根県と比較しても年間平均気温は低く日照時間も少ないなど、中国山地と大陸の影響による季節風と日本海の対馬海流に大きく支配されていることが特徴です。鳥取県の総面積は35万1千ヘクタールで、森林面積は25万8千ヘクタールと県土の74パーセントを占めています。そのうち人工林率は54パーセントで、樹種別では杉林が47パーセント、次いで桧林の25パーセント、松林の26パーセントとなっており、県南東部にある智頭町で産出される杉は「智頭杉」と呼ばれ優良材として地元を始め県外からも広く親しまれています。しかしながら、戦後の拡大造林期に植栽された人工林資源が現在利用可能な段階を迎えつつあり「造り育てる林業」から「間伐で収穫・利用する林業」へ移行しなければならない段階ではあるものの、路網の整備や遅れなどの諸問題により生産性が低いことや、木材価格の低迷により間伐などの手入れが十分に行き届いていない森林が顕在化していることが問題です。このような状況の中、杉木材の素材生産量はおよそ20万7千立方メートルで合板などの需要増により増加傾向にある一方、製材品の出荷量は3万5千立方メートルと年々減少傾向が続いており、各事業体による低コストを意識した林業や杉産材製品の品質向上と販路拡大に対する取り組みが始まりました。鳥取県産の杉の取引状況は10センチ角で長さ3メートルの杉柱が1本3千円〜1万円前後、12センチ角材は4千円〜1万3千円前後となっており、主に県内の木材会社や住宅関連会社に流通している他、関西地域を中心とした国内に搬出されており、今後は間伐材を利用した単板積層材や三層パネル・合板の生産など、杉産材の利用拡大に向けた活動が急務になっています。

 

 
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