京都府の杉の取引状況(2019)

 

京都府は近畿地方の北部から中部の縦に広がっている地域で、北部は日本海側に面して冬は冷たく湿った空気が流れ込む影響で豪雪地帯となっています。県の中心部である京都市の一部のみが平野で、それ以外は杉・桧を有すす山間部という特徴から明治時代から今日まで林業が盛んです。2019年6月の京都府の杉の取引状況は、約45万トンの取り引き率で前年度よりも6.5%高くなっていることが京都府林業センターの報告者から見て取れます。林野庁で全国47都道府県の木材取引状況の調査が開始された1984年では、京都府の年間の取引高は約9万トンでした。それから35年以上経過した今日では5倍の取引数になりましたが、これは国内向けよりも海外輸出をする木材の数量が増加したことに起因しています。京都府ではニュージーランド・カナダ・アメリカ・マレーシアの4か国に杉を輸出しており、この数量が約30万トンにのぼります。主な用途は住宅用建材となっていて、特にカナダとアメリカでは従来のローズウッドから日本産の杉を用いるようになり需要が高まっています。京都府の杉は幹が太く、寒冷地で育つことから木目がきめ細やかで耐久度が高いのが特徴です。他の地域の杉よりも住宅建材に向いていることから、海外需要が高くなっているといえます。京都府の林業センターは京丹波市にあり、ここで県内で伐採された木材が集められています。2010年には同センターの敷地内に加工場も整備されて、丸太の表皮を剥いたり角材に加工をして出荷するようになりました。なお、海外輸出をする木材に至っては税関検査がある都合上、加工をすることなくコンテナ船に積まなくてはいけません。2019年以降の京都府の杉の取引動向は、国内でも再び木造建築が脚光を浴びるようになっているので、今後は今以上の取引高を記録すると考えられます。海外輸出と同等の需要が国内でも広まれば、林業は京都を支える大きな産業になることでしょう。

 

 
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